自由財産の拡張とは、破産法では自由財産として認められていない財産を、裁判所の決定により、自由財産の範囲に含めるものです。

地域の裁判所ごとに運用が異なりますが、福岡地裁の場合は、以下の財産についても自由財産として認める運用を採っています。

自由財産の拡張により保有が認められるもの

20万円未満の預貯金

会社代表者名義の全ての預貯金口座の残額の合計金額が20万円かどうかによって判断されます。

ただし、預貯金の合計金額が20万円を越える場合でも、自由財産の拡張を申し立てることにより、処分されずに済むこともあります。

なお、預貯金の合計金額が20万円以上ある場合に、これを20万円未満にするために預貯金の引出しを行うのは、裁判所から財産隠しを疑われる恐れもあるため、慎重になるべきです。

しかし、預貯金を一切引き出してはいけないというものではなく、有用な使途(破産の申立費用、生活費、医療費、学費、税金等の支払いで常識的な範囲内の金額)に用いられた場合は問題となりません

そのため、領収書などをしっかりと保管し、裁判所に対して説明できるようにしておくべきです。

自動車

自動車ローンが残っている場合は、ローン会社等によって引き揚げられてしまいます。

しかし、自動車ローンが残っていない場合は、以下の自動車については自由財産として認められる場合があります。

  • 馬力が2500cc未満で、初度登録から5年経っている国産車
  • 馬力が2500cc以上の車、又は、外車でも、時価が20万円未満の車

なお、ローン会社による引き揚げを防ぐために自動車ローンだけ払うという行為は、特定の債権者だけ有利に扱ったものとして免責不許可事由に当たるため、行わないでください。

20万円未満の解約返戻金

解約返戻金が20万円を越える場合、原則として解約させられます。

しかし、自由財産の拡張の申立を行うことで、保険契約を解約しなくて済む場合もあります。

20万円未満の有価証券

株式や手形、小切手などの有価証券については、総額で20万円未満の価値しかない場合には、自由財産として認められる場合があります。

20万円以上の価値がある場合、原則として処分されますが、場合によっては、自由財産の拡張の申立により自由財産に組み入れられることもあります。

保有が認められないことが多いもの

不動産

住宅ローンの有無に関わらず、原則として、不動産は手放すことになります。

自由財産の拡張もなかなか認められません。

ただし、直ぐにその家から退去しなければならない訳ではなく、不動産が破産管財人による任意売却や競売によって売却されるまでは住み続けられます

事案によって住み続けられる期間は異なりますが、申立てをしてから半年程度から1年程度は住み続けられるケースが多いです。

また、不動産の所有権は失いますが、破産手続の中で親族や知人に適正な価格で買い取ってもらうことができれば、その親族などから借りるという形でその家に住み続けられることもあります。(詳しくは、「経営者の自宅を残せる?」をご覧ください。)

高価な財産

時価で20万円を越える財産は、債権者への支払いに充てるため、処分されてしまいます。

20万円以上の動産を持っている場合は、原則として処分されますが、場合により、自由財産の拡張の申立により自由財産に組み入れられることもあります。

まずは弁護士にご相談ください

以上の他の財産についても、自由財産の拡張の申立てを行うことで自由財産に組み入れられるものもありますので、詳しくは弁護士までご相談ください。

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