財団債権とは、破産手続によらないで破産者の財産から随時弁済を受けることができる債権のことをいいます(破産法2条7項)。
ここでいう債権とは、破産者に対して請求する権利を持っている人のことをいいます。
大まかに説明すれば、破産手続とは、資産をすべて現金化して、まず財団債権を返済して、そのあとに余った部分をそれ以外の債権(破産債権といいます)に返済していく手続であり、財団債権は優先的に支払われるべき債権です。
財団債権には、
- 破産管財人の報酬(予納金)
- 破産手続きの申立費用
- 税金、社会保険料(納期限が近いものに限定)
- 従業員の給料(手続き開始前3ヵ月分)
など法律でさまざま規定されています。
破産手続きによらないで破産者の財産から随時弁済できるからといって、破産申し立て前にむやみに財団債権だけ返済していったとしても、予納金や申立費用が準備できなければ本末転倒です。
ただ、債権支払の優先順位というものがある以上、予納金や申立費用等の金額の準備ができ、余剰がある場合でどうしても払わざるを得ない場合なのか、払うべきではないのかの一つの判断基準にもなります。
ただ、破産事件を弁護士に依頼した後は支払い等については、弁護士の指示に従うことになります。