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採算店舗を譲渡し代表者の生活を守った飲食店業の解決実績

1.相談から受任まで

弁護士宮田卓弥

年末、福岡県A市で飲食店3店舗を経営する会社の社長が、奥様と二人で法人破産の相談に当事務所を訪れました。


経営されていたのは、30年以上続く地元では有名な飲食店でした。


一時は売上5億円を計上し、従業員50名ほどの福岡県A市では大きな会社へと成長しましたが、大型商業施設などの進出により売上げは年々下がっていき、銀行やリース会社からの返済が経営を圧迫し、法人破産をせざるを得ない状況に陥っていました。


当然、事業再生の道も検討しましたが、営業利益が全く出ていない状況で、有利子負債(銀行からの借り入れ等)の支払いを一時停止、若しくは圧縮したとしても、経営を立て直すことは厳しい状況でした。


2回の相談を経て、負債額や資金繰りを含めた経営状況から、法人破産せざるを得ないと思われましたが、やはり30年以上地元で経営を続けてこられた社長は、なかなか法人破産の決断はできませんでした。


しかし、最終的には、「今後経営を続けていっても銀行への借金や従業員への未払い給料を増やすだけであり、法人破産手続すらもできなくなってしまうため破産したいと思います」と、決断いただき、正式に法人破産事件として受任しました。


2.従業員解雇、破産準備

当事務所で受任した3日後、会社にある現金が最も多いタイミングで事業を廃止した上で従業員の全員解雇をすべく、当事務所の弁護士2人で福岡県A市の現地へ向かいました。


21時の3店舗閉店と同時に10名ほどの全従業員に集合していただき、弁護士から会社の経営状況を説明し、法人破産せざるを得ないこと、またそれにより従業員は解雇せざるを得ないことを説明しました。


その後、社長からも従業員へ謝罪の言葉を述べていただきました。


当然ではありますが、従業員は当初何が起こったか分からない様子で、多少の混乱はありましたが、社長の真摯な謝罪の言葉に従業員も納得していただけたようで、全員が解雇通知を受け取り、受領書にサインしてもらい、その後の協力まで約束してくれた従業員もいました。


その後、各店舗に破産の準備に入った旨の告示書を貼り、事実上の事業停止となりました。


その後、店にあるレジから全て現金を預かり、銀行からも現金を全て引き卸し、なんとか弁護士費用、予納金についての金額が準備できました。


このタイミングを逃せば弁護士費用を準備できず、破産手続き申し立てもできないというほどの資金難の状態でした。


3.中華料理店の事業譲渡

経営していた3店舗のうち2店舗は社長個人所有の土地建物での営業でしたが、1店舗の中華料理店は賃貸物件で営業をしていました。


会社は破産することになりましたが、高齢であった社長が他の職を探す事は困難でしたが、家族が病気を抱えているなど一刻も早く働かざるを得ない状況で、なんとか今後経済的な再生を図っていくうえでも、第三者に事業譲渡をした上で事業を継続し、そこで従業員の一部や社長を雇うことができないかを検討することになりました。


経営する3店舗の中で中華料理店はまだ経営状態は良かったといえ、経営はぎりぎりの状態であったので、なかなか事業を譲り受けるという人は現れませんでした。


そこで会社の部長という立場であった土屋さん(仮名)が、未払賃料を負担せず、事業譲渡代金も低廉で抑えられるのであれば事業を継続してもよいとのことでした。


この賃貸物件については、既に10ヵ月分(約400万円)の賃料の未払いがある状況で、事業を譲渡したうえでこの未払賃料も引き受けてもらうのは非常に難しい状況でした。


そこで、中華料理店のオーナーに対し、山田さんとの新たな賃貸借契約を結ぶことを条件に未払賃料について放棄してもらえないか交渉したところ、社長や土屋さんの協力もあり、このまま賃貸借契約を終了しても回収は難しいし、賃料収入がなくなってしまうため、敷金を一定の金額入れることなどを条件になんとかオーナーに了承してもらいました。


その上で、当該店舗内のほとんど価値のない備品等を含め、賃貸物件での事業を譲渡することができました。


もしそのまま破産をしていれば、賃貸借契約は解除され、会社(管財人)は原状回復をしなければなりませんが、その金額が400万円という金額であることについても見積もりを取り、後に裁判所にも、今回の事業譲渡が経済的に合理的であることの根拠も準備しました。(※申立段階における事業譲渡は原則として財産散逸等の危険性や、後に対価が相当でないとして取消し若しくは追加での譲渡代金の請求がされる危険性があるため、原則としてすべきではないため、今回の措置は例外的なものです。)


4.破産申し立て・自由財産拡張

その約3週間後に会社及び社長個人の破産手続開始の申し立てを行い、その後裁判所から、破産手続開始決定がなされました。


ちなみに、社長は飲食店営業の他に、弁当販売の個人事業も行っていました。


個人事業の売掛金等も原則として、破産管財人が管理し、換価したうえで、破産手続の費用や配当に充てられることとなります。


しかし、この個人事業ができなければ一時的に収入の途が絶えてしまうので、売掛金債権については、裁判所に対し自由財産拡張の上申を行い、売掛金を社長個人の資産として認めてもらい、なんとか収入減を確保することができました。


その他にも、引っ越し費用等も40万円ほど自由財産の拡張で認めてもらうことできました。


5.債権者集会から終結へ

個人の債権者が多いことから、債権者からの厳しい指摘や、怒号等が飛び交うような荒れる債権者集会が予想されましたが、特段そのようなこともありませんでした。


そして、数回の債権者集会を経て、破産開始決定から約1年を経て破産手続は無事に終結し、社長個人についても免責許可決定がでました。


従業員への未払賃金については、管財人の先生の迅速な処理により、一部について労働者健康福祉機構を利用し支払うことができました。


事業譲渡した中華料理屋も店名を変え、経営は順調とのことです。


元社長も事業譲渡した中華料理屋でアルバイトとして雇われ、自由財産の拡張で得た引っ越し費用で現在の住居から近くのアパートに引っ越し、裕福とは言えないまでも、なんとか生活を続ける事できています。


6.最後に

法人破産手続は基本的に事業を廃止させ、清算させる手続ではありますが、自由財産の拡張や新たな職場を準備の手伝いをするなど、弁護士として生活再建の手伝いができる分野であると感じました。


※掲載においては依頼者の承諾を得ており、特定を避けるため一部事実と異なる点があります。


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福岡県弁護士会所属(登録番号29660) 弁護士 宮田卓弥 福岡市中央区渡辺通3丁目6番15号 NMF天神南ビル10階

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